〇円展
「ねぇ、なんでロボットがドキドキいってるの?」
僕はいつ覚悟を決めたのだろう。
僕は〇だった。
いや、いつからか〇だと思いこんでいた。
途方も無いくらい何も持っていなくて、
どうしようも無いくらい力もないって。
なんで?
昔はちゃんとわかっていた。
世界は豊かで、僕たちを受け入れてくれる場所をちゃんと用意してくれているって。
だから僕は野山を駆け回った。
一日中、蜘蛛が巣をつくるのをみていた。
親に怒られるくらい、自転車で遠出をした。
お小遣いを握り締めて、好きな友達の家まで1人で電車にのった。
何かをすれば、何かが当たり前のようにかえってきた。
世界がかえしてくれた。
違う。
ちゃんと世界がかえしてくれていることに気づいていた。
いつからか、そんなことをすることは恥ずかしいことだってみんながいうようになった。
大人や、友達や、先生がそういった。
世の中甘くないって。
僕が包まれていた世界は大きくて優しいものだって感じていたから、
何だか変な感じがした。
体と心がひとつにならなくて、とても悲しい感じがしたんだ。
「嘘だ!」
僕の中から誰かがそう叫び続けていた。
だから僕は感じていたんだ。
ずっと感じていたんだ。
みんなとズレているって。
うまくやれないときが沢山あって、周りを否定するたびに悲しくなる。
わかっていても、全部を壊して悲しくなる。
僕はやっぱり、世界と生きることをきめた。
人間の頭の中で生きるのはもうやめた。
世界を地球を感じて生きることにしよう。
レイチェル・カーソンが言っていたっけ。
「知ることは、感じることの半分も重要ではない。」って。
今になってその本当の意味が分かる気がするんだ。
世界はきっと、僕が野原でバッタを追いかけていた頃から少しも変わっていない。
あの頃は、僕もバッタも同じだった。
変わってしまったのは僕で、僕の体と心は半分ロボットになりかけていた。
インプットされた動作のみを行うことが正しいって。
でも聞こえたんだ。
心臓の音が。
僕は生きてたんだ。
バッタを追いかけ、木の実に手を伸ばしていた僕はまだ僕のなかに生きている。
きっと君が「嘘だ!」って叫び続けてくれたんだね。
さぁやっと今、体と心がひとつになった。
足がもぎれていようが、鉄の植物が僕の体に根を張っていようが関係ない。
出発しよう。
僕の心臓は鳴っている。
僕の目は光っている。
〇じゃない。
世界は僕らをのせて回ってる。
生きるんだ。
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〇円展に足を運んでくださったおよそ300人の方々、
制作にあたって協力してくださった方々、
ピエロの筆を応援してくださっている方々、
全ての人に感謝します。
僕たちピエロの筆はすでに次へと動き出しています。
僕たちはもう、本当にたった一度しかない人生の中で歩みを止めることはありません。
最高に楽しく、最高に幸せな人生を遊び続けます。
今後も僕たちピエロの筆に注目してください。
ありがとうございました。
ピエロの筆HP http://www.pieronofude.com/
ルデコのオーナーさんと
Gallery LE DECO http://home.att.ne.jp/gamma/ledeco/
by keita-net6086
| 2010-12-20 15:25